代表 プロフィール

長瀬 慎一

  • 上越教育大学大学院 学校教育研究科 障害児教育専攻修士課程 修了
  • 横浜市 健康福祉局福祉部
  • 社会福祉法人横浜やまびこの里「東やまた工房・レジデンス」
  • 筑波大学心理・心身障害教育相談室 相談員
  • 慶應義塾大学文学部心理学科 招聘系教職員


●NPO法人さるく代表 長瀬慎一 について

◎今は、どこで?何をやっているか?

福岡県で「発達しょうがい」のある「幼児さんから青年の方」に対して、「ご本人やご家族の“困った行動”すべて」を改善する会社を運営しています。発達しょうがいのある方々と関わって、30年が経ちました。

 

◎“困った行動”すべてとは、具体的には、どのようなことか?

○ことばが出ない○自傷がある○他人を叩く○トイレで排泄できない○パニックが激しい○手づかみで食べる ○散髪ができない○外出ができない○遊びのやりとりができない○こだわりが強い○物を壊す○教室から飛び出す○先生への暴言がある○不登校である○性的な関心が強すぎる○勉強がすすまない○友達とのトラブルが絶えない○拒食でものを食べない○触法行為で警察から警告を受けている等々、学校・保育・福祉施設やご家庭、そして医療機関や相談センターに相談しても、改善が難しいと思われている行動を指します。

 

◎“困った行動”の改善には、どのくらいの期間が必要か?

3日間です。1日目で、核となる行動を修正します。2日目で、そのやり方を日頃関わる方や親御さんに教えます。3日目で、私は完全に離れ、今ある道具・場所・人材で維持できるようにします。これらは、困った行動のうち、モンダイ行動と呼ばれるものです。

 

◎モンダイ行動以外の行動、例えば、色や形、文字や数を教えることも3日間で可能か?

まだうまくできない・教わった経験が少ない行動については、3日間でできるというわけにはいきません。

しかし、どんな課題を?何から?どんなやり方で?教えることが一番効果的であるか、はすでに明らかになっています。その具体的な方法をお伝えすることはできます。

 

◎なぜ、そのようなことが可能なのか?どこで学んだのか?

まず上越教育大学大学院のしょうがい児教育課程で、藤原義博先生から応用行動分析学を学びました。私の方法論の理論的背景には、ABA(応用行動分析学)の考え方があります。先生は、常に科学する視点を教えてくださいました。

しょうがい児教育における科学する視点とは、子どもをよく見る・よく知ることです。自分と子どもがやりとりしている場面をVTR録画し、「VTRが擦り切れるまで見る」よう指導されました。

また個別のセラピー場面では、子どもに対して

「“着席”訓練“手はおひざ”訓練“目を合わせる”訓練をしてはならない。それらの訓練は、機能的でない。やりたい・興味がある課題が目の前にあり、その課題をやるためには座った方がやりやすい。だから子どもが自ら“着席”するのだ。“手はおひざ”に置かせてなくて済むような活動を子どもに提供すれば、“手はおひざ”で、子どもの活動を分断することをしなくて済む。“目を合わせる”のは、子どもがこちらを見たくなるから目線が合うのだ。子どもが君を見たいと思うようなセラピーをしなさい。“着席”“手はおひざ”“目を合わせる”だけの機能的でない行動を形成し、そのうえ麦チョコを強化子として与えるなんて、言語道断。」

との教えを受けました。そのおかげで、今では自分が子どもと接する場面、次に起こりそうな事態を予測することができます。行動が予測できると事故を未然に防ぎ、円滑なやりとりが可能になっていきます。もちろん、強化子と称した安易なお菓子の提供をしなくても、子どもに興味を持ってもらえるパフォーマンスが出来るようになりました。

 

モンダイ行動のなかでも、特に激しい状態を示す場合を“強度行動しょうがい”といいます。“強度行動しょうがい”への対応は、神奈川県横浜市にある横浜やまびこの里の入居型施設『東やまたレジデンス』での6年間の経験から学びました。入居者は、40名でした。すべての利用者が“強度行動しょうがい”のレッテルを貼られた青年です。肉がえぐれるような自傷行動・激しい器物破損・精神病院での薬漬け・不眠・嘔吐・異食など、他施設が持て余していた方々を受け入れました。施設が、というより学校教育と地域社会が放置してきた方々です。そのような人として最低限以下の生活を強いられてきた方々でも、入居初日(40名全員を1日で受け入れ)から何のモンダイ行動もなく、静かな夜を迎えました。徹底した事前の評価とTEACCHプログラムに基づいた構造明確化の効果を体感しました。当時の施設長であった藤村出は、こう言います

「人手・金・時間・場所・前例がないと言って放置するのか?それでもできることからやるか?君はどちら側に立つのか?」「仕事は、5W2H。最後のHは、ハウマッチ。常にいくらでやるのか?コストを考えろ。」「決済印なんて、あとでいい。とにかくチャレンジしろ。チャレンジして失敗した時、菓子折り下げて住民の方々に頭を下げに行くのが管理職の仕事だ。」

とにかく猪突猛進で、仕事の早いボスでした。かのエリック・ショプラー先生が「ルー(藤村のニックネーム)の仕事は、TEACCHがやれば10年かかる。それを日本で5年でやり遂げた。」と仰ったそうです。

もうお一方、横浜やまびこの里では、篁一成先生との出会いに恵まれました。日本のABAの歴史を作ってこられた方です。東海大学心理室長を早期退職なされ、やまびこの里のアドバイザーとなられてからは毎日ABAに関する鬼門や質問を私が投げかけ、それに対して的確な答えを返してくださいました。私がやまびこの里を退職するとき、先生が長年の臨床で積み上げてこられ出版社から書籍化をすすめられたのに、本になさらなかった虎の巻をいただきました。いま、その中の一部を教材として使っています。

 

その後、慶應義塾大学心理学科の山本淳一先生のもとで1年間、自閉症幼児へのコミュニケーション支援プログラムについて学びました。そこでは、世界中で展開されている効果的とされるプログラムの長所と改善点に触れることができ、日本で実践できるやり方を開発できました。いま幼児さんに提供しているプログラムは、世界最先端(!?)です。

 

◎伝えたいこと・実践したいことは何か?

幼児期から青年期まで、発達しょうがいのある人々と家族を支えるための方法・実践・理論など、すべてのことが明らかになっています。あとは現場で実践するだけなのですが、なかなか広がりをみせていないというのが日本の現状です。私の目指すものは、私の事務所から半径50Km圏内に住む発達しょうがいのある人々と家族の豊かな生活です。そして、こんな昭和の頑固おやじ職人とチームを組んでくれるスタッフにも恵まれました。

方法はすでにある!あとはやるだけ!なのです。

 

NPO法人さるく 代表 長瀬慎一

『はじめてボランティアをするあなたへ』

https://www.yokohamashakyo.jp/hanbai/index.html

コミュニケーションの苦手な子ども達との関わり方を分かりやすくまとめたハンドブック。 長瀬慎一:著者、 藤村出:監修、 横浜市鶴見区の余暇活動グループ「ゼリービーンズ」が企画・編集(平成15年3月30日発行)